学校給食改善の三本柱
■西村さんは現在、街づくりに、防災に、福祉にと、多忙をきわめる毎日だが、ライフワークである学校給食の改善には今後どのように取り組んで行くのだろうか。
西村 現在は一期目で、まだ目に見えて給食が変わったわけではありません。ただ、「土地のものをその季節に食べる」ことを前提に、課題は明確になってきました。
その一つが給食の完全米飯化です。視察に行った真田中学校では完全米飯給食の実践で非行問題、アレルギー問題を解決し、学力アップも実現しました。文京区の現状は、米飯が週二~三回程度なので、これを週五回まで持って行きたい。
二つ目が牛乳選択制の導入です。牛乳は本来は牛の赤ちゃんが飲むもの。特に日本人の身体には合わないということは多くの専門家が指摘しています。なにしろ日本人が牛乳を飲み始めたのはここ百年ぐらいのことですからね。しかし残念ながら、牛乳は栄養面で欠かせない飲み物だという誤った観念が戦後の日本社会では通用してきました。本当は廃止したいところですが、まずは牛乳以外にお茶または豆乳を選べるようにする。これは子供たちの成人病予備軍防止対策になると考えています。
三つ目が地元からの食材調達です。流通の利便性、利益優先で農薬や遺伝子組み換え、輸入食材に頼る大手業者からの調達をやめて、食材すべてを顔の見える地域商店からの購入に切り替えたいと考えます。
そもそも日本人の食生活が欧米化した背景には、戦後、アメリカが小麦など余剰農産物の受け入れ先として日本の市場や学校給食に目を付けたところにあります。小麦を原料としたパンは給食の主食となり、パンに合わせて肉、牛乳、油や砂糖を使った料理が副食となった。それはやがて日本人の嗜好を変え、食生活を変え、その結果、国民の多くが成人病にかかり、医療費が増大しました。ですから、私の給食改善への取組は、日本を取り戻す闘いでもあるのです。
とりわけ家庭の食事が崩壊しつつある今ほど学校給食の重要性が問われる時代はありません。今後も「食こそが子供たちを救う」という確信のもと、給食改善のための闘いを続けて行きたいと決意しています。